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「皓ちゃん、今日は学校遅くなるの?」
「うん…依頼があるから。今日は帰れないかも」
「まぁ…部活動も大変ね。大会が近いの?」
……世界結界は、怪異の事象をすべて歪めてしまうから。
私がしていることの正確さは、どんなに言っても「一般人」である両親には伝わらない。
「……9時に駅でみんなと待ち合わせだから」
「そう、引率の先生も大変ね。皓ちゃんもがんばって」
どこまで。
どこまで両親が、私のしていることを認識しているのか…もはや一般人ではない私にはわからない。
目の前で、私が能力者としての能力を「発動」し。ゴーストと戦うことでもなければ、多分正しい認識は及ばないのだろう。そして、そんな日は永遠に来ないことを、私は祈っている。
両親の前では、普通の女の子で。
日の光が降り注ぐ、昼間だけでも。
いつか、血みどろの姿で私が地面に倒れて死ぬその瞬間まで。夢とわかってても、両親には…家族にだけは正しく「普通」の女の子の姿を見せたくて。
家族だけには、せめて…愛されるままの自分でいたくて。
「……うん」
頷いて椅子から立ち上がる。
伝わらないとわかっていながらも、その事実を確認しなければいられない自分にうんざりした。そんなもの、この能力を得る時に覚悟を決めたもののはずなのに。
「いってきます」
鞄を肩にかけて、玄関へ向かう。意識して表情を整えた。泣くことなんかじゃない。普通の、日常のことだ。
「あ…皓ちゃん」
玄関の扉に手をかけたところで、お母さんがエプロンで手を拭きながらやってくる。
「気をつけてね」
気遣わしげな表情で告げられた一言。
振り向かずに扉を開けた。
「うん。いってきます」
泣きたいなと思った。
……泣かなかったけど。
……家族と同居している能力者が少なからず感じる孤独感なのではないかな、と思う
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