シルバーレイン内に生息する月篠皓とかいう人の日記。
わかんない人は、帰るといいと思う
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「鬼性の者は、人の毒には染まらぬものよ」
誰に言われたんだか、覚えていない。
毒も何も。私は、私が私以外の何者に染まることも許したくない。
たとえそれが、頑迷な孤独と臆病な虚勢によるものでも。
私は…私を誰にも許したくない。
たとえ、誰にであろうと。
25時の待ち合わせなんて、と彼女は爪を噛む。
昔はしなかったのに、最近イライラすると爪を噛むようになった。
彼女が認める唯一の庇護者。深伽久は、それを見咎めるたびにやんわりと注意する。普段なら彼に言われたことは素直にやめる皓だったが…どうしてか爪を噛むことだけはなおらない。
ピアノを習っているおかげで長く伸ばしたことのない爪は、咬んだせいでキリキリと削れ、時には不用意にかき傷を作った。そのたびに、癇癪を起こしているのは秘密のこと。
…少し、無理をしてるのかなとも思った。
(慣れるべきだ)
ポケットからカードを取り出す。
―――イグニションカード。……能力者の証。
(もっと、色んなことに慣れるべきだ)
少なくとも、こうして夜。誰にも見られないように闇をまとって街角に立つことにも。
そして、人に知られぬまま剣を取って戦うことにも。
傷を抱きしめて、一人うずくまることにも。慣れるべきだと思った。
この道は、そういう道だ。
多分、自覚のあるなしは別としても。能力者となって、戦う道を選ぶからには全てに覚悟がなくてはいけないと思った。
もしかしたら……取り返しがつかない失敗を追って、命を落とすことにも。
(私がもし、そうなったら…パパたちはどういう「認識」をするのだろう)
世界結界の影響にあれば、怪異の関与した事柄は全て歪められる。
交通事故か…突然の病死。もしくは自殺…?
(病死がいいな。事故や自殺じゃ、お母さんたちがかわいそう)
できる限り、家族が悲しまないほうがいいなと漠然と思う。未だ性根が幼い彼女には、「死ぬ」ということがどれほどに周囲を傷つけるか。その正確な意味合いは、おそらくははかりきれていない。
はかりきれていないからこそ、純粋にその覚悟を自分に求める。
絶対に死なないなんて、そんな神様みたいな確信はもてなかったし。
―――携帯が軽やかな音で鳴った。
二度三度と瞬きをする。
少しばかり精神世界に悪酔いをしていた気分がして、軽く頭を振った。
「…もしもし、私」
眉根を寄せて、やや神経質な口調で応える。相手の悪びれない口調にますます少女はかんしゃく寸前の、不機嫌な顔をした。
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プロフィール
HN:
月篠皓
年齢:
33
性別:
女性
誕生日:
1990/12/12
自己紹介:
このブログ中に用いられているイラスト作品は、株式会社トミーウォーカーの運営する『シルバーレイン』の世界観を元に、株式会社トミーウォーカーによって作成されたものです。
イラストの使用権は作品を発注したプレイヤーに、著作権は各イラストマスター様に、全ての権利は株式会社トミーウォーカーが所有します
ちなみに、メセアドはgimmick_flower@hotmail.co.jp
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