2009/02/17 (Tue) ただただ、私を愛すなと泣き続けた日々

　最初の出来事から、ずっと私は彼の腕の中でそうやって蹲って泣き続けていたのだろう。
　長いこと彼は、その腕を強めることなく。ただ夜の帳のように、包んでいてくれた。

　……どうして…彼が腕を強めることがなかったのか。
　それは彼自身の理由だから。私は知らない。
　
　解っている気もするけれど、知らない。
　
　無遠慮に触れ合うことを長いこと避けてきたから。

　
　……だから、本当は。
　
　なにも。

　

　ああ、怖いよ。
　どうしよう。

　手の中の銀の指輪。

　どれだけの覚悟なの。これは。
　私に贖えるの。

　怖い。足が竦む。

　でも、帰り道もわからなくて。ここがどこで、どうしてここに辿りついたのとか、それすらも曖昧で。
　目隠し鬼でもあるまいし。
　
　闇の中、自分すらも溶けて失ったわけでもあるまいし。


　でも会うのは怖い。
　だって、会ってしまったらきっと最後だ。
　わかってる。ずっとわかってた。そんなの！言われなくたって気がついていたよ！

　……何もかもが、終わってしまいそうで踏み出す一歩に躊躇する。きっと私に戻れない。

　それでもいいのかと問うために……。